
最終号 石川裕人×国久暁[演出・劇団無国籍]
石川
連日お疲れさまです。
国久
お疲れさまです。
石川
いよいよ、前半線が終わり後半戦ですが、いかがですか。調子は?
国久
公演のリズムが良い具合に続いている気がするんですね。前半4公演やって、間に休みが入って。最初の3公演を上り調子でできて、3日目に入ったところで、歴代受賞者の方と飲み会をして、刺激をもらって、その次の舞台の出来が良くなくて(苦笑)、その日に平塚さんもいらして、平塚さんに色々ヒントをいただいて、次の日は1日休みで、またここから6日間始まるっていう、だれない運びですね。
石川
刺激をもらいつつ、
国久
なかだるみしなくていいなって、
石川
役者の感じはどうですか?
国久
多分、21日にアフタートークで来仙した作者の平塚さんがおっしゃっていたことがおもしろかったんですよ。それをやりたくなっちゃっていると思うんですね。
石川
なるほど。
国久
でも作ってきたものはそれと違うわけで、それを構築するにはやはりゼロからの稽古がないとまるまる違うものになってしまうから、いかに自分たちがやってきたことにうまくエッセンスとして取り込めるかどうかなので、なるべく変えないというのを大前提ににどこにそのエッセンスを入れるか。
気持ちの持ちようだったりするので、そういうところをどう役者さんが納得して取り込んでいけるかというのが問題なのかな。
石川
役者がどう楽しめるかどうかにかかっていると思うけど、
国久さんは無国籍という劇団で、この前初めて観させていただきました。脱力系の、のほほん系のコメディと思いました
国久
脱力系ですか(笑)
石川
今回の「はだか道」はどちらかというと、それと真逆のスラップスティックのナンセンスなところだよね。どうでしたか?作ってきて、「私のやっていることと結構違う」と思いながらやってましたか。
国久
いや、そうでもないですね、
おそらく、実際観ていないからあれですが、平塚さん版の「はだか道」はどちらかというと脱力系じゃないかなと、気がするんですけど。
石川
なるほど
国久
普段、私がそれをやっているからとは別として、おそらく似たジャンルにとらえられうんではないかな、と。起こる笑いもわっとした笑いではなくて。
石川
大爆笑ではなくて、
国久
おこがましいかもしれないですけど、書いている文脈というか文法というかそういうものがわかりやすいんです。
石川
「はだか道」はそんなに違和感がないと、
国久
ですね。
石川
だから今回の演出コンペに応募したわけだからね。
国久
そうですね(笑)
石川
初稿より説明っぽくなっていたりしているよね。
国久
ですね、ゲーム要素がはっきり出てきたり、説明が多くなってしまっている分、物語的にノッキングするところがでてきているのかな、という気がするんですが。
石川
うんうん
国久
もっとわかりたいという欲求が初稿よりは応えるだろうし、説明はすごくつけやすくなっているから。
八巻さんにはこの本と相性が良いのではないかと言われて、私も確かにそう思うんです。好きな笑いどころがどこか似ているし、ただ作品と私の運の巡り合わせが悪いという話で。
石川
巡り合わせが悪い?
国久
まずリーディングには行けず、演出コンペに行くときは自転車が壊れたりだの、なんだかいろいろありまして。
石川
厄落としみたいなのがあったのかもね。
演出に選ばれたときは嬉しかったでしょ?
国久
嬉しかったんですけど、いや、大変なことになったと思いました。もう一人の方が本当に優れた方だったので、お話ししていても普段やっていることだとか、適うわけがないと思っていて、選考委員の方々に囲まれて、色々質問を受けて、こうしたいんですと言っている自分がだめだった。2年前に「ミチユキ→キサラギ」で演出コンペの時も、そのように面談をして落とされたのですけど、あの時より2年経っているし、その間に演出として色々勉強したのでちょっとくらいステップアップしているかと思ったのに、していなかったことにあの面接の最中気づいてしまって。
石川
まぁ、ああいうことってあんまりないからね、コンペでいろんな質問を受けて
みたいな。
国久
おごり高ぶっていたというか、時間が経っているからちょっと位成長しているだろうと思っていた自分が甘かったと、1mmも成長していないのに、ああ恥ずかしいと。準備したつもりだったのに、その準備もあまり役に立っていないし、あれがショックでしたね。そこにこの自分が来てしまったというのが。無理なんじゃないかと思ったのに、私だったのでびっくりしてしまいました。
石川
国久さんの演出者として大事にするポイントはどこですか?
国久
ああ、どこでしょうね
役者個人の個性を優先的にというか、最優先ですね。
石川
戯曲の解釈は?
国久
ああ、戯曲の面でいうと、私は普段書いているので、どうしても自分の書いているものって優先順位が低くなってしまうというか
石川
俺も自分で書いているからだけど、書いているときからほとんど演出が入っているわけだよね、ああいたいこうしたいっていう。
国久
そうですね。
石川
自分で演出する場合、ほとんどト書きも最低限のことしか書いていない。役者やスタッフには非常に不親切な戯曲になっている。
ただ、役者はそれでも想像力で持っていけたりするので、問題はスタッフだよね。さっぱりわからないと。
国久
はい。
石川
役者が一番大事で役者の潜在能力とか個性を引き出したいという。
国久
そうですね。その人の面白い部分が見えるとどうしても残したくなります。
石川
今回の大典君とみちや君はいつもやっているから分かるとして、次郎さん、箱崎くん、野々下くんたちとやってみてどうです?
国久
おもしろいです。すごく一人ひとりアプローチが違うので、良しとする基準がみんな違うと演出助手の菅野さんと話していました。
本当に役者さんによって自分の良しとするポイントが違うから、それでもケンカにならずに人間関係でうまく引く人と押す人がいて、本当にうまい具合にバランスが取れているというのがあります。
石川
そうか。我の強い人がいないんだ。「俺が俺が」みたいな。

国久
いや、野々下さんは結構強いんですけど(笑)
次郎さんも強いじゃないですか。
石川
ははあん、
国久
それだからといってケンカするわけでもなく、
石川
お互い刺激し合ってみたいな。
国久
ええ、認め合ってますね。でも自分の得意分野は得意分野として出すぞっていうのがお互いあるので、ケンカせずに共存し合っていますね。
石川
共存し合っている。(笑)
国久
誰かがやり方を曲げるのではなく。
石川
そんなかんじはするね、ただ、この間の飲み会で野々下くんに「まだ隠しているところいっぱいあるよねー」って話して
国久
ああ、そう思いますよね
石川
もっとべろっと出したらいいさって
国久
はははは
石川
でもそれはさすがにね、彼はアンサンブルを大事にしているなって思って、
国久
そう思います、野々下さんは普段やってくることの違いがあるのかわからないけれど、どちらかというと自分の役柄や役回りよりもバランスをとることを大事にしていて、演出みたいに「こうしてみない?」と他の役者さんに提案をしてくれて、調整役のような、中間管理職のようなことをやってくれる。
石川
非常に良い面子がそろったという。
国久
ええ、おもしろいです。
石川
見ててある清々しさ潔さを感じるし、非常に良いチームワークなんだなと思って。
国久
そうですね、誰もやめようとか、いいんじゃないかとか言わない。次郎さんは言いますけど。
石川
ははは
あの人は正直だから。
国久
次郎さんは言える立場の人だな、と。キャラというか、人柄というのが役目というので言って下さる。それはそれで面白いし、誰も後ろ向きなひとがいないですね。みんな前向きでどんどん攻めていってるし。私は今、どんどん用無しになってきていて。
石川
それは良い傾向だよね。いつまでも演出がついているのはおかしいんで。
国久
だから私はちょっとでも居場所を確保しようとしています。演出無しでやりたいだろうなというところもグイグイと入っていって。存在感だけアピールしているって感じですけど。
石川
あはははは。多分嫌がられているよ。
国久
ですよね。自由にやりたいだろうなとは思うんですけど。
石川
俺は本番始まったらいわないようにするタイプなんで、余程の事がない限りは。
国久
さびしいんですよね。
石川
さびしいときは自分で役者で出るしかないの。
国久
ああ、そうか。
石川
そうなんです。楽しそうな芝居は自分で出るっていう。
国久
あははは
石川
では最後に「はだか道」というタイトルに引っかけまして、習慣はだか道の最終回なので、この「はだか道」というタイトルは何でしょうか、と。何だと思います?はだか道(どう)でもいいんですけど。
国久
それ(はだかどう)、いろんな方がおっしゃっていますね。異種格闘技戦だし、まさにリングのように三方に囲んで、役者同士の戦いがいろんな方向から見られるような舞台にしたので、「はだか道(どう)」なんでしょうね。
石川
はだか道(どう)なんだ。
国久
だと思いますね。役者が衣裳も着ないでお客さんの前に立って何のごまかしも効かない状態で芝居をしなきゃいけなくて、なんて過酷なんだろう、と。
石川さん
そうやってみれば、今回は体つきの良い役者さんが揃っていて、俺みたいなメタボ系がいると面白かったね。まぁ、千秋楽まで体を壊さず、最後まで楽しんでください。ありがとうございました。
国久さん
ありがとうございました。

